ラインは、あいつが死んだ五年前のまま。
あいつが死ぬ前日に送った『大好き』の文字。

あの日、あいつと一緒にいて、あいつが撃たれて、あいつが最後に言った『愛してる』の言葉。



……私達は、決して『愛してる』と言わなかった。
『好き』も分からなかった。『好き』も『愛』も、貰ってこなかったから。

『好き』は簡単に言えた。ただの文字でしかなくって、この溢れ出しそうな気持ちを、伝えるための言葉で。離れるのが辛くならない、言葉だった。

でも、『愛してる』と言ってしまうと、離れるのが辛くなって、離れられなくなりそうで。いなくなったときに苦しくなるから、言わなかった。








愛してる。ずっと言いたかった言葉。
愛してる。ずっと言えなかった言葉。



『愛してる』
そう送ったライン。


その言葉に、『愛してる』が返されることは…………












もう、二度とない…………………___________。