おねえちゃんが、しんだんだって。


ね、しぬってどういうこと?


 



おとうさんもおかあさんも、おしえてくれなかったの。



まだ、七さいのわたしには、わからないな。


でもね、ずっとずっと、おねえちゃんがかえってくるのまってるのに、おねえちゃん、かえってこないの。
 


なんでかえってこないの?ってきいたら、おかあさん、もうかえってこないよ。っていってたの。



なんで?














お姉ちゃんがしんで、六か月たつの。
でも、かえってこないの。


わたし、もう二年生。
なのに、お姉ちゃんはほめてくれないの。

 
早くかえってきて、お姉ちゃん。 



もうお姉ちゃんのかお、しゃしんのかおしかおもいだせなくなっちゃうよ。







早く、早くかえってきて。わたしがお姉ちゃんを、わすれちゃうまえに。










































お姉ちゃんが死んで、十年経つ。
あの頃七歳だった私は、死ぬってことがわからなかったけど、もう分かるよ。

だって私、もう十七歳で、高校二年生。
それぐらい、もう分かる。
分かってるからもう、お姉ちゃんの帰りを待つなんてことはしないから、苦しくないよ。


でも、もうお姉ちゃんの手のひら、体温、声。全部思い出せないよ。



それなら私は、お姉ちゃんのすべてを覚えていた七歳の私で居たかった。