最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~

「ここまで送ればあとは帰れるだろう?」

「…お礼は言わないから」


「それでいい。俺様と貴様は敵同士だからな」

「最後にひとつだけいい?」


「なんだ」

「どうして私の名前を知ってるの?」


「…俺様の知り合いに貴様のことをよく知る者がいてな」


知り合い?


「ありえないわ。髪色だって違うのに」

「髪色を変えたくらいでわからないと思うのか?」


「っ!」


ガッ!と腕をつかまれた。


「瞳は赤いままだろう?これは俺様たちのいる世界では目立つ。正体を隠したいなら目のほうを隠すべきだ」

「…」


生まれつきとはいえ、この瞳のせい、か。


「今さら貴方に名前がバレたところで気にならないわ」

天羽(あもう)狗遠(くおん)


「え?」

「俺様の名だ」


「知ってるわ。さっき、私に絡んできた男たちが言っていたから」

「なら問題はないな」


なんの?


「お互いに名前を知っておくべきだろう?」

「それは何か深い意味でもあるの?」


「戦った相手の名前を知らずに倒してしまったらそれこそ罪の意識にかられる」

「貴方って意外と…」


「どうした」

「なんでもないわ」


最初はただひどい人って印象だった。けど律儀なところもあるのね。