最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~

「無駄なお喋りもここまでだ」

「売られた喧嘩は買うつもり。いつでもかかってきたら?」


ようやく本性を見せたわね。


総長であるこの人が、このまま私を無傷で返すわけがない。


「ケンカ?…面白いことをいうんだな闇姫」

「なぜ、笑っているの?」


「俺様はケンカをするとはいってないぞ」


え?


「貴様には今日付けで俺様の女になってもらう。そういったんだ」

「それはさっき断ったはずよ」


「聞こえるか、闇姫。俺様の声が」

「っ…」


なに…これ。


頭に直接響く声は。


これは、彼がやってるの?


「俺様と口づけをすれば契約が完了する。それが済めば貴様は一生俺様のモノだ」

「口づけ?寝言は寝てからい…っ」


「ほぅ。これだけ力を使ってるのにまだ抵抗する力が残ってるとはな」


力?


さっきから不快すぎるくらい頭の中に響くこれは彼の……吸血鬼の能力。


「俺様と契約すれば、貴様もはれて吸血鬼の仲間入り。これで死を恐れる必要はなくなる」

「私は死を恐れるわけじゃ…」


「そんなことはない。人間誰しもが怖いはずだ。若いから死なない?そんなことはない。人はいつか必ず死を迎える。怖いだろう?死ぬということが」

「だから怖くなんて、ない」


怖くない。こわくなんてないはず、なのに。


どうして。どうしてなの?

彼が語りかけてくるたびに恐怖が、怖さが増してくるのは。


震えだす身体。手足は氷のように冷たい。

私、本当は死ぬことが怖いの…?