「幻夢はそういうのじゃ…」


元舎弟で今はただの友達だし。…舎弟だったって口が裂けても言えない。


そもそも、私と幻夢に恋愛感情なんてものは存在しない。


「中学時代からの友人なの。た、たまたま同じ高校で…だから2人が思ってるような深い関係じゃなくて」

「そう思ってるのは闇華ちゃんだけかも」


「ゆ、夢愛ちゃん?」

「少なくとも幻夢くんは闇華ちゃんのこと好きだと思う」


なにいって…。


「闇華。夢愛の勘は当たるから気をつけた方がいいよ〜。今までもね?誰が誰と付き合うとか、この人に危険が〜とかいろいろ当ててきたの。夢愛の勘は占いレベルで凄いんだよ!」

「そ、それはすごいわね」


1度だけなら、たまたまという説も出てくるけどそういうわけでもなさそう。


幻夢が私のことを好き……?

それは家族としてでしょ?


私だって家族としてなら幻夢のことは好き。


「占いレベルまでいかないよ風夏ちゃん。それは持ち上げすぎ。闇華ちゃん、ごめんね。私のは独り言みたいなものだから…。あんまり気にしないで」

「私のことは抜きにしても他のことは当てたのだからすごいと思うわ。私にはそういうのないから憧れるわ」


「闇華ちゃんは私よりも持ってるじゃん。人を束ねる力も強さも、ほかにもたくさん。闇華ちゃんはこれ以上なにを望むっていうの?」

「夢愛ちゃん。今なんて…?」

「ううん、なんでもない」


「アタシも聞こえなかったけど〜、夢愛ってばまーたネガティブ発言してたぁ?夢愛にはアタシがいるでしょ!」

「うん、いつも隣にいてくれて感謝してるよ、ありがとう風夏ちゃん」


「……」


一瞬だけ夢愛ちゃんの表情が曇った気がした。


小声で私には聞こえなかった。

その言葉はまるで私には聞かせたくない、聞いてほしくない、そんな感じだとおもった。