「壱流から聞いてるからね。それに、研究者の間でキミは有名人だから」

「私が?」


有名人って…。


「キミはオレと同じ特別な存在だから、ね」

「私が、特別…」


前にもそんなことを聞いた気がする。


白銀先生と私が同じ?


「もう遅いし、気をつけて帰るんだよ?…キミに偽闇姫の話をできて良かったよ。壱流のことはオレがなんとかするから安心して。
それと今日起きたことは壱流には黙っておく。それじゃ明日学校で」

「…はい。さようなら白銀先生」


1人になった私はその場に座り込む。


「私に愛される資格なんてない」


私は静かに息を殺しながら涙を流した。


素直に再会を喜ぶなんてできなかった。

力が暴走しかけたなら私がそれを止めないといけなかったのに。


私はなにも出来ず、ただ血を差し出すことしか……。


人間だから吸血鬼に勝てないのは納得だと、それはただの甘えだ。

言い訳なんてしていいはずがない。


…強くなりたい。もっと。


壱流も幻夢も昔の仲間たちも守らなきゃ。

たとえ闇姫に戻るつもりがなくても、陰から彼らを助ける手段はいくらでもある。


まずは偽物の闇姫を探さなきゃ。


だけど壱流に血を吸われてるとき、痛みもあったけど、少しだけ気持ちいいって…。

なにいってるの、私!


2人きりで長時間閉じ込められてたから思考回路がおかしくなってるだけ。


吊り橋効果よ、こんなのは。はぁ…。

でも、明日からどんな顔すればいいの?