高校入学から2日目。


―――ピンポーン。ピンポーン。


その日は、朝から迷惑ってくらいインターホンがうるさかった。


誰なのかって?

思い当たるのは1人しかいない。


「おはようございます!姉、んんっ。闇華さんいますか〜?」

「わざわざ家まで迎えに来なくても……」


ほら。やっぱり幻夢だった。


「なにかあってからじゃ心配ですから。って、まだ着替えてなかったんですか?」

「朝が弱いのは知ってるでしょう?それと……おはよ」


「はい!おはようございます!!」


朝から元気ね……。


普段なら幻夢の高めの声も平気なのに今は頭に響く。


「着替えるから少し待ってて」

「手伝いましょうか?挨拶も時差あるんじゃないかってくらい遅かったですし、着替えも一人だと時間かかりません?」


「…着替えくらい一人で出来るから。中に入って待ってて」

「俺が男で生まれてきたばかりに、くっ。お邪魔します!親は、いないですよね?」


「当たり前でしょ。もしいたら今頃出禁になってたわ。今日も朝早くから仕事なの」

「なにげに姉貴の家に入るのは初めてかもしれません」


そうだったかしら?

……そう、よね。そもそも当時の幻夢を紹介なんてできない。


私が夜に出歩いてたこともバレてしまうし。

そのあとは根掘り葉掘り昔のことを聞かれて。
想像するだけでも怖いわ。