最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~

「やっぱり口説いてるじゃないですか!今年入った教師かなんだか知らないですけど、若くて高身長だからって調子に乗りすぎです。その上イケメンとか。白衣野郎は吸血鬼で間違いありません!」

「決めつけはよくないわ、幻夢」


「でも……」


それをいうなら私だって吸血鬼と間違われる。慣れというものは怖い。


あの教師が仮に吸血鬼だったら、わざわざ髪で隠したりしない。気にしてるということは彼は人間。

そういう意味も含めて「同じ」といったのかもしれない。


「僕は姉貴の赤い目めっちゃ好きですよ!あの白衣野郎は別として。だって、姉貴のはキラキラしてるじゃないですか。まるで宝石のルビーみたいです」

「それは言い過ぎよ」


いつも子供っぽいくせに時々幻夢は大人びた言葉を使う。いつもの幻夢からはとても想像がつかない。


本物のルビーみたい?

やっぱり大げさすぎる表現。


「ホントのことですよ?」

「ありがとう。
たとえ冗談だったとしても嬉しいわ」


「冗談や嘘は姉貴の前では言わないですよ」

「はいはい」


「そうやって子供扱いしてはぐらかそうとする~!」

「頭を撫でてるのは素直に可愛いと思ったからよ」


この目がコンプレックスなのは幻夢も知っている。表情が少し暗かったのか、落ち込んでると思ったんだろう。


感情を表に、というよりは顔に表情が出にくいらしく私の考えてることは幻夢いわく察するのが難しいらしい。


それは多分、「目に映るものは全員が敵」だと思い込んでた時期があったから、未だにそれが抜けきれてないのが原因。


一瞬でも相手に弱さを見せれば負ける、そう思っていたから。