最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~

「あれって、絶対セクハラですよね!?」

「なんのこと?」


「他人事みたいに聞き返してますけど、姉貴の話ですからね?」

「?」


セクハラをされた覚えはない。


「白衣野郎のことですよ!」

「白衣、野郎……」


さっき会話をしてた先生のことだろうか。


「口説かれてたって正直に言ってください!
姉貴は新入生の中でも美少女です。僕からしたら超絶可愛いです。だから白衣野郎の見る目はたしかにいいですけど、でもだからって教師が生徒にセクハラするのはいけないと思います!!」

「幻夢、一旦落ち着きなさい。私は普通に話をしていただけよ。それに口説かれてないわ」


「話って?」

「お互いの目の話。…あの先生も私と同じ赤い目だったの」


「白衣野郎の前髪がやたら長かったのはそういうことだったんですね」

「それで、私の目が綺麗だって言ってた」


私はいつも奇異の目を向けられていた。挙句の果てに吸血鬼扱いされてタイマンをする前に逃げられた経験もある。


この目のせいで余計に闇姫の存在やウワサが大きくなっていったのも多少は関係あると思う。
まぁ、闇姫を卒業した今となってはどうでもいいけれど。


教師に目のことについて声をかけられた時は「いつも通りの説教か」と話を流そうと思った。だけど、今回は違った。


気持ち悪がられるどころか褒められるなんて……。予想外の言葉を投げられて、一瞬反応が遅れてしまった。


幻夢が来なかったら、私はあのまま教師に触られていたのだろうか?


だからセクハラ?でも、私はそう思わなかった。だって教師が私を見る目は少し違っていたから。


毎日のように喧嘩をしていた私だからこそわかる。あの目は殺意でも恋情でもない。