最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~

「龍幻、なにやってんだ?早く職員室に行かないと職員会議?ってのに遅れるぞ」

「龍幻〝 先生〟だろ?」


「その呼び方は慣れるまで時間がかかりそうだ」

「二人のときは構わないが、教室ではせめて呼んでくれよ…」


「まぁ考えとくわ。俺、先行くから」

「あぁ。……っと、すまない」


「いえ…」


女の子たちが騒いでいた二人組の内の一人にぶつかった。1人は先に教室に向かったようだけど。


白衣姿にメガネ。


なんで白衣を着てるんだろう?


「その目は本物かい?」

「偽物に見えますか?」


悪態をついてしまった……。


生意気な生徒だって思われた?


「気に触ったなら謝るよ。
ただ、オレと同じに見えたから」

「同じって」


長い前髪を手でかきあげると、そこには赤い瞳があった。たしかに私と同じ。


髪は銀色。そして赤い目。


この見た目はまるで……。


「オレと同じ色の目をした女の子に会ったのは初めてかもしれない」

「私も初めてです」


だからか、私の目を見てなにも言わないのは。


教師だったら開口一番に「カラコンなら外せ」というはずなのに。


「君は綺麗な目をしているね」

「え?」


触れられそうになったそのとき、


「姉貴ってば、まだここにいたんですか?」

「幻夢。だからその呼び方は……」


「そろそろ行かないとマジで入学式遅刻しちゃいますよ」

「え、えぇ」


私は幻夢に手を引かれるまま、教室に足を進めた。