最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~

「「「キャー!」」」

「今度はなに?」


近くで女の子の黄色い声が聞こえる。


「あの二人、超カッコよくないー!?」

「わかる〜!
1人は制服着てるし、同級生かな?」


「でも身長高いし、年上じゃない?」

「隣にいる人は先生だよね!?
もしかして新任!?」

「担任の先生とかになったらどうしよう!?」


ふと視界に入る。


ここから見ても、身長が高いのがはっきりとわかる。


「闇華。早く教室に行かないと先生来ちゃいますよ?」

「わかってる。今行くから」


「あの二人が吸血鬼だったら私、思わず血あげちゃいそう〜」

「ウチも同じ!あんなイケメンで、ただの人間とかありえないよー」


「……」


今の時代、吸血鬼という存在は珍しくない。

一昔前は都市伝説やら架空の生き物として本に載ってるくらいだったけど。


私も一度だけ吸血されたことがある。


あの屈辱は昨日のことのように覚えている。

次に会ったら絶対後ろをとらせない。


それと同時に、私が血を与えた男の子はどうしてるだろうかと気になった。


壱流は私の初恋の人。
小さい頃に何度か遊んだ。まさか、あの街にいるなんて最初見た時は驚いた。


敵のテリトリーに入ったから殴られるのは当たり前だけど、あまりに一方的すぎてつい手が出てしまった。

だけど、壱流は昔のことを覚えていなかった。無理もないか。あれは小学3年生くらいのときだし。


紅い月(ブラッドムーン)を接種したと聞いて、急いで私の血を飲ませたけど……。


あれで暴走が止まったとは思えない。でも、あれ以上あの場所にいるのは私自身も危険だったから。