最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~

「ぎゃー!」

「どうしたの?」


幻夢がいきなり大声を出すからビックリした。


掲示板を見ながらアワアワと口を開けている。


「姉貴とクラスが離れるとか陰謀です!
これは、先生が僕に対するいじめをしてるに違いない!!」

「いじめって……」


適当に、とはいかないだろうけどクラスを決めるときはある程度バランスを均等にするようにって聞いたことがある。


でも、詳しい事情は教師の間でしかわからない。


「やはり教師とタイマンするしか」

「入学早々退学になりたいの?」


「それは嫌です。せっかく姉貴と一緒の学校に入れたんですから!」

「だったら、現実から目をそらさない」


「姉貴って基本的に冷めてますよね」

「冷めてない」


「アネキ?あの二人ってどういう関係?」

「姉弟にしては似てないよねー」


「……幻夢」

「す、すみません!」


呼ばないでって先に釘打っておいたのに。


「や、闇華とクラス離れるとか寂しいです。
中学の頃は同クラだったのにー!」


わざとらしい。というか棒読みすぎて演技としてもどうなの、それは。


「あの二人同クラだったらしいよ」

「同中で高校も同じとか羨ましすぎ」


……良かった。


「隣のクラスですし、途中まで一緒に行きましょう?闇華」

「そ、そうね」


今まで姉貴呼びだった幻夢が私の名前をナチュラルに呼ぶとかちょっとドキッとする。


名前で呼んでって言ったのは私だけど、これは意外と心臓に悪い。