「壱流、私の声が聞こえる!?」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」


壱流はその場で雄叫びを上げた。


私の声は届いていない。


暴走は止まるどころか勢いを増していく。

ガラスどころか建物自体もガラガラと音を立てて崩れ落ちていく。


倒れていた吸血鬼たちに息はなく、そのまま灰となって消えた。


まわりは壱流を怖がるように逃げていく。

恐怖で足がすくんでるものは、その場から動けずただ立ち尽くしているだけ。


壱流だけじゃどうにもならない。


「幻夢、私から離れて。生きてる者を出来るだけ外に誘導しつつ、ここから逃げて」

「そんな…姉貴!まさか壱流さんを1人で止めようっていうんですか!?そうだ、龍幻先生を呼びましょう、眠り薬入りの銃なら壱流さんをなんとか…」


「白銀先生がここに来る頃にはもうこの街は手遅れになる。それにその銃ならここにもあるわ」

「だったらそれで!」


「無理よ。こんなので壱流の暴走は止まらない…」

「姉貴、なんでそんなことがわかるんですか」


「それ、は…」


壱流の感情が伝わってくるから。


壱流の血を流して込んでもらったおかげか、貴方の気持ちがわかるの。


いたい、苦しい…ほかにもいろんな。