最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~

「この場所が総長として俺に与えられた部屋だ」

「そう…ここが壱流の」


私はそっとおろされた。


壱流が総長になったのは知っていた。

だけど、まさかこんな形で壱流の部屋に入るなんて思いもしなかった。


「炎帝、痛むとこはないか?」

「平気よ…こんなの、ただのかすり傷だから」


「だったらなんで泣いてるんだ?」

「え?」


顔を触るとなぜか濡れていて…。


それが涙と理解するまでにかなりの時間がかかった。


「俺はべつに身体に痛いところはないかと聞いてない。見た目に関していえば、ほぼ無傷だ。俺が言っているのはお前の心だよ、炎帝」

「っ……」


その場に座り込んでしまった。


私はなにが悲しくて泣いているんだろう?


仲間が囚われのまま自分だけ逃げてきたことか。


短時間で強くなったと思いこんで敵アジトに奇襲をかけるも負けたことか。


友達だと思っていた夢愛ちゃんに裏切られたことか。


多分、ぜんぶ。


自暴自棄になりなにもかも投げ出しそうになった私のまえに貴方は来てくれた。