最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~

「白銀先生、ありがとうございました。これで幻夢を助けに行けます」

「いいんだよ。修業に付き合ったとはいえ短時間だからね」


結局、一度も白銀先生に刃を当てることはできなかった。

だからといって弱さを嘆くことはない。


「それにしても…」





「髪色を闇姫だったころにかえるなんてね」

「さすがにこれじゃいけませんし、誰からも気付かれませんよ」


「オレは気付くよ」


え?


「キミがどんな姿になってもオレはキミだとわかる。…なんてね。こういうカッコいいセリフは壱流の役目だ」

「壱流は…鈍感だから気付かないですよ」


「そうかもしれないね」


だからきっと闇姫の姿で隣町でもし会うことになったとしても、それが私とは絶対にわからない。むしろそれはこっちにとって好都合。


「オレも…」

「?」


「キミのその赤い瞳には美しい景色だけを見せたかったな。オレたちのいる世界は表の人からしたら、あまりいいようにはうつらないから」

「私は…今の自分にはどちらが正しいかなんて判断することはできません。だけど、私の選択に間違いはないと思うから。決められたレールを歩くのはもうやめにします」


「そうだね、それでいい。キミはキミ自身の選んだ答えを出した。それで今は十分だよ。
さあ、行っておいで。手遅れになる前に」

「はい」