「誰かわからないですけど、姉貴を闇姫に戻したくない人がいるみたいですね」

「そんな人いるわけ…」


「だって、目が覚めたらスマホが消えてる…なんてそんなことあるわけない。姉貴、昨晩は誰といたんですか?」

「それは…」


「答えられないんですね。もういいです」

「幻夢、まって!」


私はその場から立ち去ろうとする幻夢の腕を掴んだ。


「姉貴。本当は僕も貴方には戻ってきてほしくないんです」

「幻夢…」


受け入れるどころか手を振り払われてしまった。


「僕は1人で仲間を助けに行きます」

「そんな…無茶よ」


「どんなに無謀でもやらないといけないんです。これは僕にしか出来ないことだから。…裏社会から身を引いた姉貴にはわからないことですけど」

「…」


「僕は姉貴が闇姫をやめたことをけして責めたりしません。ただ、僕が怒ってるのは中途半端な覚悟で僕らの世界を知ろうとしてる姉貴の行動にです」


幻夢は勘が鋭い。


どうして私はこんな簡単なことさえ忘れていたんだろう。


言葉にしなくても幻夢はわかっているんだ。

私が昨日どこに行っていたか。知る方法はいくらでもある。