「軽々しく男に差し出してんじゃねぇーよ」


そっか…壱流はまだ私が闇姫だと知らない。


紅い月を接種後、血を与えて蘇生させたのもわたし。それに体育館倉庫でも吸われたし、なにも今回が初めてってわけじゃない。


「龍幻に忠告されたんだ。人間の血を気軽に飲むなって」

「…」


「普段から輸血パックで済ませてる俺が吸血したら暴走するかもしれないといわれた」


壱流のこの様子だと龍幻先生はあの夜のことを話していないようね。


「炎帝にはすこし難しい話だったよな」

「いいの。私も吸血鬼のことは人並みには知ってるつもりだから」


「そうか」

「だから尚更この状況は貴方にとってつらいんじゃない?」


「それがわかってんなら早く手当てしろよ」

「…いいよ」


「え?」

「私の血であなたが…壱流が満足できるなら」


普段ならゼッタイ言わない。


やっぱり私、壱流のことが…。