最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~

「今日…キスされたの。だけど、その人は私の好きな人じゃなくて。口と口が触れ合う程度だからって最初は気にしてなかった」

「……」


「だけど1人になった瞬間、急に嫌な気持ちが溢れてきて、今も動揺してる。
私ってば変。ほらね、冷静じゃないでしょ?」

「そんなの冷静になれなくて当たり前だ」


え?


「好きでもない奴に唇を奪われたら誰だってイヤに決まってる。そんなのに冷静もクソもあるか。それは誰もが感じる普通の感情だ。
だから、炎帝が思ってるそれはおかしなことなんかじゃないぞ」

「なん、で…」


「炎、帝」

「こっち見ないで!」


「!わ、悪い」


励ましてほしかったわけじゃない。


ただ、話を聞いてくれるだけで良かったの。

独り言のように流してくれれば。


なのに何故そんなに優しくしてくれるの?

私がいま欲しい言葉をどうして…。


「なんか今の話聞いて安心した。なんのかんのいいながら炎帝も女子なんだなーって」

「どの部分が?」


「好きでもない人にキスされて泣いてるってことはいるんだろ?…好きなやつ」

「…いない」


「それは無理があるだろ」

「あと、泣いてないから」


「泣いてるだろ。その証拠にさっきから俺の背中が湿って……いてっ!」


つい手が出てしまった。

そんな強く叩いたつもりはないんだけど。