桜が舞う未来のいつかで過去の話を

20☓☓年。4月7日。

今日は高校の入学式。

自分の部屋の鏡の前に立つ。

「よし!」

私は長い髪を整えて新しい制服を着てかばんを持ち1階へ降りた。

居間に入るとそこにはもう両親の姿はなかった。



机の上にはいつものように置かれた紙切れとお金。



美麗へ
今日も二人とも帰りが遅くなります。
五千円置いとくので晩ご飯は適当に食べといてください。


「また1人なんだ…」

誰かに言う訳でも無く1人つぶやいた。
しかも今日は高校の入学式なのに。

まぁあの人達は私より仕事だし
入学式なんて。私なんてどうでもいいか。
邪魔だもんね。

うちの両親は共働きで
土、日関係なく仕事に出ている。

だから同じ家に住んでても家族そろって晩ご飯を食べたり
休日出かけたりなんてことはない。

いつからかうちの家からは笑顔が消えた。

小学校低学年まではみんな笑顔だった。

でも私が小学5年生くらいになると
もう大丈夫と思ったのか親と話す時間が無くなった。

2人とも顔を合わせれば仕事の話ばかり。

ちょっと話しかけたら
「後で聞くから今は黙ってて。」
「美麗はいい子だから言うこと聞けるわよね?」


それからは言いたいことも伝えたいことも呑み込んで。

花咲家はあいさつさえもしなくなっていった。