「ハルちゃん!」


「マスター…?なんで…?」


なんでマスターがここに?


「大丈夫?!」


「見ての通りです。無事にとはいきませんでしたが生きてますよ。それよりなんでマスターがここに?」


「良かった。雪也から連絡もらって警察呼んだんだ。ちょっとツテがあってね。俺はちょっと警察と話があるから離れるね。瑞希、もう4時半になる。ここから離れろ。」


雪也さんも見えないところで色々動いてくれてたんだ。


そんなことよりもう4時半か…。


今すぐ日の当たらないところにいかないといけないのにもう体は動かない。


でも、もういいや…。


今、ここで太陽を身体中に浴びて死ねるならそれもそれで悪くない。


どうせ、これからonyxを出て一人で生きていく。


体もどんどん動かなくなるなら今が私の絶頂の瞬間かもしれない。


「もう、いいかな…。」


「なにがもういいんだ。行くぞ。」


瑞希さんが私の心中を察したのか、少し怒りを含んだ表情になり、私の体を抱き上げた。


「ちょ…ッ、なんでこの担ぎ方なの?!」


「お姫様抱っこ。悪くないだろ?」


「いや、そういう問題じゃ…。」


「けが人は黙ってろ。出血量も少なくない。あんまり暴れるな。」


そう言われれば黙って置くことしか出来ず、されるがままだ。


「死にたいとか、そんなこと思うなよ。」


「え…?」


「春陽見てればわかる。さっき諦めたような顔してただろ?一人じゃ歩けないしもういいかって顔してた。」


図星過ぎて何も言わずに思わず口を噤む。


「そういう時は、周りの人を頼れよ。俺らも春陽に助けられた。俺らも春陽を助けたい。それじゃ、ダメなのか?お前は、もうひとりじゃない。」


倉庫から少し離れたところで瑞希さんが足を止め、倉庫の方を見た。