月下の少女


「お前、名前は?」


「影中 春陽です…」


「あぁ、だからハルちゃんね。」


「マスターがいつの間にかそう呼ぶようになってました。下の名前で呼ばれることなんて今まで無かったので、凄く新鮮です。」


「なるほどな。俺は佐久間瑞希。関東連合の総長やってる。瑞希とでも呼んでくれ。俺はお前のこと勝手に春陽って呼ぶから。」


突然呼び捨て。


総長さんはビジュアルも整ってるし、もしかして女慣れしてて男慣れしてない私を弄んでるのかな。


そんな妄想を繰り広げているうちに、後ろからやや酔いが回り始めている集団から声がかけられた。