50…

40…

30…

20…


10,9,8,7,6,5,4,3,2,1…0



9月5日


見渡す限り、何も変化はない。

私は目につく全ての物に警戒心を強め、巡回を続けた。



静かだ…


コツコツ…と私の歩く音だけが周囲に響く。


一通りもまばらで、いつもより裏通りに人影は見当たらない。


これはこれで怪しすぎる。


朝方近くまでグルグルと歩き回り、終いには表通り付近も回ったが、異常な程に何も起こらなかった。


毎日少なくても2つ3つは小競り合いが起きてるのに…。


9月5日に動き出すというのは嘘だったのか?


関東連合とのグループメッセージには数時間おきにメッセージが届く。


その様子を見るに、向こうも今のところ異常はないらしい。


これ以上巡回を続けたら朝日を浴びてしまう。


一旦帰るしかないか…。


私はグループメッセージに異常なしと一文送り、onyxに一度戻った。


onyxのドアを開けると、いつも通りドアベルの音が響く。


周囲の静けさから数十メートル先までこの音が聞こえそうだ。


店内は既に真っ暗で誰もいない。


私もフードを脱ぎ少しだけ気を緩めた。


スマホでメッセージを再度確認し、何事もないことを確認する。


何事もないのに気を張っていたせいで疲労感もすごい。


私は部屋に戻り一度疲労をシャワーを浴びてリセットすることにした。


起きていても日が昇っているうちは私に出来ることは無い。


そう思い、ベッドに入り体を休めることにした。


ピンッと張り詰めていた糸が切れたかのように、私は目を閉じ真っ暗な世界に身を投じた…。