「私は、守って欲しくてこの話をした訳じゃない。もし、私が動けなくなったらそのまま置いてって欲しいから話しました。」


「病院には…?」


「行ってません。」


「ハルちゃん病院に行ってないって?それって諦めてるってこと?」


「それに置いてけってなんだよ。置いてけねぇよ。もう春陽は俺の仲間だぞ?仲間見捨てるなんてそれこそ最悪だ。」


「諦めてるっていう表現は少し違います。望まないことにしたんです。」


「望まない?」


割り切ったような顔をした春陽、そのまま話し続ける。


「この病気は治療法がない。いつか治療法が見つかるかもしれないとか、太陽の下を歩けるかもしれないとか、かもしれないの希望は私には辛いだけなので。」


治療法がない?


じゃあどうにもならないってことか?


希望は辛い。


そう話す春陽の顔は本当に辛そうで、今までどれだけ辛い思いをして生きてきたのかと考えると無性に悔しく思った。


言葉が出ない。


何も言ってやれない自分が無力さを感じると共に、春陽の強さも感じた。


今まで、1人で戦ってきたんだな。


「ハルちゃん…。」


「マスター、私、関東連合との同盟が終わったらここから出ていこうと思ってます。」


は?


出ていく?どこに?


突拍子もないことを言い始めた春陽はどこか覚悟を決めたような顔だ。


「え?行く宛ては?どこ行くの?」


「いえ、何も。今思いつきました。」


「そんな急いで出て行かなくても…。それに病気のことを考えると今の地下の部屋がベストなんじゃないの?俺はいつまでもいてくれていいんだよ?」


日が当たらない場所なんてそう多くなはい。


今の部屋がどう考えても春陽にとってはベストな場所だ。


そこを出ていく?


なんのために?