俺がドアを開けると中には公弥さんも残っており、二人揃ってカウンター席に腰掛けていた。


「悪い。遅くなった。公弥さん、お疲れ様です。」


「お疲れ。大蛇の件、ハルちゃんから聞いた。この街も荒れるな。頑張れよ瑞希。」


「はい、ありがとうございます。春陽と少し話があって、場所借りてもいいですか?」


「あぁ、大丈夫だ。ハルちゃんに俺にもその話を聞いて欲しいって言われてさ、俺も参加するけどいいか?」


「春陽が望むなら俺は大丈夫です。」


春陽から俺と公弥さんへの話。


これが大事な話じゃないと考える方が不自然だ。


俺は近くの席に腰掛けて、春陽の話を待った。


「関東連合創立日のとき、マスターが私を途中で連れ出してくれたのは覚えてますか?」


異様に何かに怯えていた春陽。


その異様な光景は鮮明に覚えている。


「うん。もちろん。」


「あの時、私は夜しか生きられないって言いました。だけど、正しく言えば、私は太陽の元では生きていけない体なんです。だから、日の出前に陽の届かないところに行く必要がありました。」


「太陽?」


太陽の元?


どういうことだ?


「はい。私は、色素性乾皮症、XPっていう病気なんです。」


色素性?


XP?


なんだそれ。


何やら初めて聞く単語ばかりで頭が追いつかない。


だが、春陽が“病気”と闘っているということはすぐにわかった。