「春陽って大人びてるくせに、こういうことするんだな。」

「え?」

「指切りげんまん。俺小学生以来だぞ?」

そっか、これ子供っぽいんだ。

「ヘヘヘッ…。でも、私は初めてやった。」

私は思わず笑みを零し、小指の力をぎゅっと強めた。

「泣くな。安心しろ。昼間は俺が街を守ってやる。」

あれ?私、泣いてる?

気づけば涙が溢れており、小指を離して涙を拭った。

瑞希さんは椅子から立ち上がり、私に近づいてきてそっと私を抱きしめた。

「大丈夫だ。春陽は大丈夫だ。」

暖かい…。人に抱きしめられるなんて物心着いてからは初めてかもしれない。

私は顔が熱くなるのを感じながらその温もりに体を寄せた。

「うん。ありがとう…。昼間は任せた…。」

初めて感じた感情だった。

胸の中が暖かくなる。

でも鼓動が激しくてうるさい。

でもそんなうるささも煩わしくはなかった。

瑞希さんの体が私から離れるとやけに肌寒く感じた。

心做しか瑞希さんの顔が赤い気がするが、きっと気のせいだろう…。

私の顔はまだ熱を帯びていて冷めきらない。

初めての感情に戸惑いながらも私は次に向けて考えなければならない。

今は何よりも大蛇のことをどうにかしないと…。

生半可な気持ちで抗争に参加したら病気云々じゃなくて殺されかねない。

しっかりしなくちゃ…。