「マスター、私、関東連合との同盟が終わったらここから出ていこうと思ってます。」


これは正直、今思いついたぐらいの勢いで話している。

でも、このタイミングを逃す訳には行かないと直感で感じてしまった。


「え?行く宛ては?どこ行くの?」


神妙な面持ちから一転し、焦っているような表情に移りかわった。


「いえ、何も。今思いつきました。」


「そんな急いで出て行かなくても…。それに病気のことを考えると今の地下の部屋がベストなんじゃないの?俺はいつまでもいてくれていいんだよ?」


そんな優しい言葉私には勿体ない。

でも、これは曲げたら負けだ。


「いえ、もうこれ以上マスターに甘える訳にはいきません。病気を持って生まれて、行くあてもない私を拾ってくれて住む場所も与えてくれた。病気のせいで諦めていた仕事も経験させてもらいました。本当に感謝しています。」


「ハルちゃん…。」


「心配しないでください。行く宛てはなくてもマスターに拾われる前もそれなりに生きてこれたのできっとどうにかなります。もう決めたことです。勝手ですみません。」


これ以上ここにい続けると必ず迷惑がかかるし、自分で死を選ぶと決めた決心も鈍る。


恩を仇で返す結果には絶対にしたくない。


「ハルちゃんは意外と頑固だからな…。」


言っても聞かないと思ったのか、マスターも諦めてくれた。