「…スマホ?」


「うん。ハルちゃん用に契約しておいたから、使って?プレゼントだから。」


「こんな高級品頂けません!」


私は手にあったスマホと梱包された箱ごとマスターに押し返した。


「いいの。これはハルちゃん用だから。使わないって言っても捨てるだけだし、勿体ないでしょ?しかもこれ、俺からじゃなくて関東連合からだから。」


マスターはスマホを私のズボンのポケットに突っ込んだ。


「何かあったら直ぐに連絡して。近くにいつも瑞希がいるとは限らない。最近よりこの近辺が騒がしくなってるし、心配だから。」


マスターの真剣な眼差しに負け、私はため息をひとつこぼして了承した。


「いつも迷惑かけてばかりですね。すみません。」


「そんなことない。ハルちゃんにはいつもこの辺の治安を守ってもらってるし、助けて貰ってるから、そのお礼。」


「俺の番号も幹部のヤツらの番号も全部登録してある。何かあったら連絡しろよ。」


関東連合とマスターからのプレゼント。

そんな人達から私がこんなものを貰っていいのだろうか?


せっかく準備してくれたのにまた受け取り拒否したら、それもそれで失礼か…。


「ありがとうございます。大切に使いますね。」


「うん!使い方分からなかったらいつでも聞いてね。」


「はい。」


もう一度しっかりスマホを手に取り、電源ボタンを押した。