昼間の巡回は淳治に任せて、夜は春陽と俺が巡回する。


春陽はまた“夜しか動けない”と言った。


果たしてそれが何を意味しているのかはまだ分からない。


ただ1つ、この話をすると、春陽は心做しか悲しそうな表情になった。


そこに何らかの闇が隠れていることは間違いないだろう。


その闇も一緒に抱えてやりたいがそう簡単にはいかなそうだな。


日中は他のメンバーに任せて、俺は一度家に戻った。


それから一度睡眠を取り、俺は別件を済ませるために街に繰り出した。


俺は、この日、春陽に雪也を助けてくれたお礼も兼ねて、あるものを準備した。


拒否されるのは目に見えているが、公弥さんから渡して貰えれば最終的には受け取ってくれるだろう。


ひとつの用事を終えると、俺はそれを持って開店前のonyxに寄った。


カランコロン


「お?瑞希。お前が自分でここに来るなんて珍しいな。」


「これ、関東連合幹部から春陽に。俺たちが渡しても受け取らないと思うので公弥さんから渡してください。」


「なんだ?あー、なるほどな。俺も準備しなきゃとは思ってたんだ。」


「これからのことを考えたら必要になると思うので、今のうちに。」


「そうだな。」


暫く公弥さんと今のこの街の状況を情報共有し、話し込んでいた。


完全に日が沈み、夜の世界が広がる時間。


その時間、春陽はいつも通り真っ黒の格好で店に姿を現した。