月下の少女


「春陽?」


背後から何度か聞いたことのある声が聞こえ、思わず振り返る。


「総長さん。幹事さん。」


「その呼び方やめろ。瑞希だ。」


「僕も今は幹事でもなんでもないから気軽に昂って呼んでいいよ。」


「では、瑞希さんと昂さんで。」


ここで名前呼びを拒否するのもなんか違う気がして素直に応じた。

2人はこんなところで何を?


「それでいい。あの日以来だな。」


あの日って1週間前か


「そうなりますね。あの日はご迷惑お掛けしてすみませんでした。せっかく誘って頂いたのに。」


「いや、俺の配慮が足りなかった。何も謝ることは無い。体は平気か?」


「はい。なんともありません。」


「そうか。じゃあ、これからたまり場まで付き合え。いいだろ?」


何故そこでたまり場に行く流れになる?

それも自然な感じで。


「私はもう少しでこの辺りを回らないといけないので今日は遠慮しておきます。」


「そこらは俺らが一通り見回った。今日はなんにも起きねぇよ。」


「この間のこと、悪いと思ってるならその埋め合わせとしてね?瑞希もこういってる事だし、いいよね?」


昂さんの有無を言わせない雰囲気がひしひしと伝わってきて思わず頷いた。


この異様な空気の正体はこと2人がいたから生まれたのか?


関東連合のツートップが街の取り締まりをしていたとなると街の空気が変わるのもうなずける。


「分かりました。その代わり4時過ぎには店に帰ります。それでもいいですか?」


「あぁ。構わねぇよ。」


こう言ったはいいが、たまり場に行って今度は何があるの?