8月15日

ついにこの日がやってきた。


春陽は来てくれるだろうか。


公弥さんは毎年来てくれてるが、俺が公弥さん以外の誰かを招くなんて初めてのことだ。


いつも以上に時間をかけて髪の毛をセットし、特攻服に身を包む。


背中に“総長”と書かれたこの特攻服は、公弥さんから譲り受けた関東連合の命とも取れる代物だ。


これを着る時は身が引き締まる思いで、どんな時よりも関東連合総長という肩書きが重たく感じる。


春陽との約束の時間が近づき、倉庫の外を見ると、夜の闇に紛れてしまいそうなほど真っ黒な格好をした春陽が立っていた。


俺は柄にもなく少し浮き足立ちながら春陽に声をかけた。


相変わらず素っ気ない態度だが、今日来てくれただけで俺は満足だ。


これから俺と公弥さんが乗る車に一足先に春陽を乗せ、俺は気合を入れて倉庫内に戻った。


「瑞希本気でハルちゃん誘ったのな。」


「ダメでした?」


「いや、ハルちゃん、楽しんでくれるといいな。」


「はい。」


公弥さんは車に乗ってる春陽を遠くから眺めながらそう呟いた。


また、あの笑顔が見たい。


公弥さんも思ってることはほぼ同じだろう。


「公弥さん、今年もよろしくお願いします。」


「あぁ。」


俺と公弥さんを初め、他の幹部も準備が整った。


関東連合メンバーは既に外でスタンバイ済みで、あとは俺が号令をかければ走り出す。