「マスター…、あの、本当にすみません。」


「謝るところあった?瑞希はハルちゃんに見せたかっただろうけどね。毎年あそこで朝日を見るんだよ。俺は毎年見てるからもう見飽きてるよ。大丈夫。それより早く帰ろう。」


時刻は4:28


あと約30分。


徐々に明るくなってくる空から目を背け、なるべく体を屈めた。


間に合って…っ。


車に乗ってる時間はさっきよりも短いはずなのに何倍も長く感じる。


少しずつ見慣れた建物が見えてきたけど、震えは止まらない。


「着いたよ!」


私は車が止まったことにも気づかず、マスターの声と後部座席のドアが開いた事で我に返った。


時刻は4:52


空は青白く光出しており、思わず目を背ける。


私は慌てて車を飛び出し、onyxのドアを壊れそうな勢いで開けて地下に続く階段を駆け下りた。


バタンッ


自分の部屋の扉を勢いよく閉め、私はその扉に背をつけて床に座り込んだ。


「ハァハァハァハァ…。」


乱れた呼吸音が部屋に響き、自分がどれだけ焦っていたかを実感する。


あ、マスターにお礼言ってない。


後で謝らなきゃ…。


「ハハハ…ッ…なんで、こんな身体なんだろ…。」


私はいつぶりかも分からない涙を流し、そのまましばらく泣き続けた。


楽しかったのに。こんな体じゃなければ…。


朝日、見たかったな…。


しばらくボーッとしてから念の為、皮膚の炎症を抑える薬を飲んでからベッドに入った。


時計は5:38を示しており、今日の日の出時間は5時ピッタリ。


きっと今頃総長さん達はこっちに向かって帰ってくる頃だろう。


少し休も…。


最近は思っていなかったが、その体、疲れるな…。