私たちの車は倉庫からどんどん離れていき、私が来たことの無い場所に向かっている。
興奮は冷めないが少しずつ冷静さを取り戻し疑問をぶつけた。
「あの、これどこまで行くんですか?」
「海だよ。そこまで行くのが毎年恒例だからね。」
「さっきとは比べ物にならねぇくらい綺麗な景色見れるといいな。昨日は雨だったし綺麗に見れるんじゃねぇか?」
雨と綺麗な景色って何か関係あるのかな?
もうアスファルトはほとんど乾いており、出発の時に見えたような光の反射は見られない。
何があるのか少しワクワクしながらもふと車内の時計が目に入った。
4:10
その時間を見た私は興奮が一気に冷め、再び窓の外に視線を向けた。
まだ空は暗い。今はまだ大丈夫。
ここまで来るのに大体30分。
ここから引き返せばギリギリ間に合う?
でもこの車はバイクの真ん中。抜け出すのは不可能に近い。
どうしよう…。
どうしよう…!
私は脱げたフードを深く被り直し頭をフル回転させる。
もう景色なんて見てる余裕はない。
ここから何とか日の出の5時までに自分の部屋に帰らなきゃ…。
「ん?どうした?フードなんて被って。そんなんじゃ何も見えねぇだろ。」
何とかしなきゃ。
「車、止めてください。」
「ハルちゃん何を?」
「バイクに囲まれてるのわかるだろ?今止まったら大事故になる。」
わかってる。わかってるけど…。
「私を降ろしてください。お願いします。」
「なんでだよ。何をそんなに突然焦ってる?」
「そうだよハルちゃん。さっきまであんなに楽しそうだったじゃない。」


