「ハルちゃん、黙っててごめんね。話したらびっくりすると思ったから黙ってたんだけど、バレちゃったね。」
いつものケロッとした様子でマスターも話しているが、本当は私なんかがそう簡単に話せる人ではないってことだ。
なんで私はこんな凄い人達と同じ車なんだろう。
「これから走る。すげぇもん見せてやるからここから見てな。」
この前から言ってるすごいものってなんだ?
でも、総長さんが乗ってろと言うのだから黙って座ってることにした。
混乱しながらも窓の外に目をやると、横一列に並んだバイクに人がまたがった状態になっていた。
その中心には幹事さん。
幹事さんの背中には副総長の文字。
みんな、雲の上の人みたい。
幹事さんのバイクのエンジンが着いたのをきっかけに周りのバイクのエンジンがかかり、ライトが一斉に点灯した。
「きれい…。」
「だろ?」
明るい白やオレンジのライトが道を照らし、まだ少し濡れているアスファルトに反射してすごく綺麗。
イルミネーションみたいな輝きを放ち私の心を掴んだ。
総長さんと幹事さんが目を合わせると幹事さんを先頭にバイク集団と私たちの乗っている車が動き始めた。
爆音とともに動き出すバイクたちの姿は圧巻で、何度でも見ていられそう。
私たちの乗る車はそのバイクの中心部に位置し守るように囲まれている。
「窓開けてみろよ。風、気持ちいいから。」
私は言われた通りに窓を開けると、エンジン音が直に聞こえ、肌寒いくらいの夜風が頬を掠めた。
フードが脱げていることを気にもとめず私は夢中で窓の外を凝視し続けた。
時間なんて忘れて、ずっと見ていたい。
そう思いながら。


