ネオンが輝く夜の街


酔っぱらいのおじさんたち

やけにはしゃぐ学生

時折聞こえる怒号

気まずさからかそそくさと通り抜けるスーツ姿の人


様々な人々が集う街

そのど真ん中に私は住んでいる。


両親はいるけどいないようなもの。
私を捨ててどこかに行ってしまった両親なんて親とは呼べない。

血の繋がった他人だ。


そんな私を拾ってくれたのは偶然この街で出会ったバーのマスター、里崎公弥(サトザキ キミヤ)さん


今はマスターの店、onyx(オニキス)の使っていない地下の一室を私の部屋として使わせてもらっている。


ここに来るまでは色んな場所を転々として生きてきたが、かれこれここに来て1年が経とうとしている。


酔っ払いに絡まれているマスターを助けたお礼だと言われ、家賃もタダ、食費・光熱費なども全部タダ。


それはさすがに申し訳ないと支払いを申し出たがことごとく断られ、最終的に週に一回店を手伝うことで決着した。


私は毎日でも働くと言ったが、それすら受け入れて貰えず、元々1人でやっていた店だし、マスターの仕事のペースがあるのだろうと1人納得した。