月下の少女


数十分経過したころ、何とかしてこの場を離れる方法を模索し始めた。


明らかに私ここにいる意味ないでしょ。


私は空になったお皿やグラスを適当に集め、厨房に下げようと立ち上がった。


「どこに行く。」


「…空いた食器を下げようかと。」


話している時は私に見向きもしなかったのに、立ち上がった途端スっと視線を私に向けた。


「嫌か?ここにいるのは。」


どちらかと言えば嫌ですけど…
そんな素直に言えるはずもなく


「…いえ。皆さん楽しそうだなと思って見てました。」


自分は楽しいとは言わないけど、その雰囲気自体を褒めておく。


それが一番無難だから。


私は一礼してまとめた食器を持って店の裏に戻った。


視線は感じたけど今度は腕を掴まれたりはしなかったから簡単に抜けられた。


こんなことならもっと早く抜ければよかった。


「ハァ…なんなの…?」


私、なんか総長さんのお気に召すようなこと、もしくは気に入らないことしちゃったのかな?


そんなことでもなければ、いち店員を自分の誕生パーティーに参加させないよね?


私は今下げてきた食器を全て洗い、“一度部屋に戻ります。終わった頃に片付けに来ます。”と書き置きを残し部屋に帰った。