「おーい!主役が何すみっこでコソコソししてるんだー!ナンパっすかー?こっちで一緒に飲むぞー。」
「ナンパなんてしてねーよ。今行く。お前、そんな主役より酔っ払いやがって誰が主役かわかったもんじゃねぇな。」
「いいんすよ。これから瑞希も酔わせるからよ。」
「俺はお前と違ってザルなんだよ。どんなに飲んでもお前みたいにはならねぇ。お前もいいくらいにしとけよ。」
そんな会話が繰り広げられる中でも総長さんは私の前から離れない。
私の事なんて構わずに呼ばれてるんだから行けばいいのに。
「あの、私のことはほっといて大丈夫なので、行ってください。皆さん主役をお待ちかねですよ。」
私は総長さんに営業スマイルを浮かべ、向こうに行くよう促した。
「じゃあ一緒に行くか。」
「えっ?」
体の前で組んでいた手を引っ張られ、総長さんは私ごと酔っ払っている彼らの元に向かっていく。
なんで私も?
手が離されたかと思えば一番端の席に座らされて目の前にお茶が置かれた。
それから彼らと総長さんはたわいもない話を繰り広げているが私がその輪に入ることは無い。


