君の胃袋を掴む


ぼんやりとそれを見る。

「……なんで」
「ん?」
「怒ってるの?」

パンプスがきちんと並べられ、浅履きのカバーソックスに指が引っ掛かる。
くい、と踵が擽られた。

雅宗がゆっくりと首を傾げる。

「僕、約束破ってないよ」

……約束。

「女関係に巻き込んでないし、小梅ちゃんの料理のことを誰かに言いふらしたりもしてない」

身体の両サイドに手がつき、挟まれた。

「小梅ちゃんが忙しいときは作らなくて良いよ、でもずっとは嫌だ」

顔が近付き、私は身体を後ろに退くというより倒す。

「僕、思い通りにならないのが一番嫌なんだよね」