大湖の方を見ると「おう……」と呆然としながら返事がある。 「あの、また、大学で」 「あ、うん」 ぐっと手を引かれた。 冷たい手に。 駅の方に向かっていたと思ったのに、この道順は雅宗の家の方だった。 「家、隣駅……」 「うん」 言葉は返ってくる。 「雅宗、ご飯ちゃんと食べてる? すごい手が……」 マンションの部屋の前。 チャリ、とポケットから出した鍵の音に、目と耳を疑う。 「え、鍵失くしたんじゃ」 「あーこんなとこにあったんだ。忘れてた」 こちらを見ない顔。