家に行かないから、これを届けにわざわざ来たのだ。
そんなことをするとは思わなかった。
雅宗を見ると、いつも通りの顔。
バイト先に来たのも言わないし、家に行かない理由も、返信しない理由も尋ねない。
「……ごめん、私、やめる」
私がこの関係にお金を取り入れたのは、辞めたいときに辞めやすくする為だ。
雅宗に無賃で料理を作ってあげるほどに義理はなかったし、食材費だけでも貰っておけば作っても良いかなという気分になる。
でも多分、それが結局仇となった。
小さい声だったからか、雅宗が小首を傾げて「うん?」と聞き返す。



