声に反応して、正面を見てみれば、 赤い傘が目に入る。 そして、髪の長い少女が、 うつむきながら 傘をさしだしていた。 「え、あ……俺に?」 とまどいながら声をかけると、 彼女は顔をあげて小さくうなずく。 中学生にしては、大人っぽい雰囲気で、 俺と同じくらいの年に見えるけど…… 初めて見る顔の子だな。 「助かるし、気持ちは嬉しいんだけど、 君の傘が……」