「美緒、大丈夫?」

移動教室へ行くために廊下を歩いていると、

希空は何も映さない狂気がちな瞳で

私を捉えた。

「え、うん。何が?」

「何も、されてない?」

「うん。」

でも希空が危害を及ぼすのは私たち家族に

害を与えたものだけ。

だからその狂気は優しさから

来てるって知ってる。

知ってるけど、怖いものは怖い。