コンクールが終わって、

音瀬那由多に会いに行った。

何故か、話したくなった。

理由も何も、ないけれど。

舞台裏まで行って、その姿を見つけた。

「音瀬那由多!」

大きな声で叫ぶと、驚いたように

こちらに走ってきた。

「来てくれたんだ!でも何でここに?ここ、関係者以外立ち入り禁止なんだけど」

あぁ、確かにそうだ。

まぁどうでもいいけど。

「すぐに出てく。コンクール、良かったと思う。特に音瀬那由多のソロ。」

「...えっ?」

「おーい那由他!早く来ないと先生怒られるよー!」

「あ、悪い。行かなきゃ。...ねぇ、すぐに行くから外で待っててくれない?」

話したいことがあるから。

そう言って音瀬那由多は消えて行った。