「…は?」
返ってきた言葉は予想もしていなかった
言葉だった。
「き、昨日っ、組?みたいな人に絡まれてるところを…た、助けてくれた…」
結芽ちゃんはたどたどしくあたしの
足りない言葉を補ってくれた。
「…あー、そういえばあったなぁ。」
昨日とは違い、ゆっくりとした
気だるげな話し方をした。
(昨日と、なんか違う?)
自分が思ってるよりジッと相手を見すぎた
みたいで、男の人は怪訝そうに眉をひそめた
「なに?」
「あっ、ごめんなさい!昨日と雰囲気が違かったから!同じ人かなって…。」
「ふっ、同じ人だよ。雲龍 大和。俺の名前」
男の人は少しだけ目を細めて笑うと、
自分の名前を教えてくれた。
「うんりゅう…やまと?」
名前を聞き返すと、男の人に緊張していた
結芽ちゃんがおもむろに口を開いた。
「とにかくっ、昨日はありがとうございました!それではっ」
結芽ちゃんはあたしの手を引いてそそくさと
食堂から逃げる。
(あ、ご飯買ってない)
そんなことを口にする余裕は
結芽ちゃんの顔を見ればわかる。
人見知りで、しかも男の人がとっても苦手な
結芽ちゃんにすれば、
苦痛な時間だっただろう。
お礼だけでよかったのに、
あたしが不躾にその時間を
伸ばしてしまったのだ。
(また、悪いことしちゃったな)


