しっかりと向き合って始まった関係は、しっかりと向き合って終わりたい。

あの頃の気持ちまで無かったことにはしたくないから──────────

「恋々愛……何言って……」

今までとは全く違うつっかえる様な声。

未だに状況が理解できない様子の依織くんの手はみるみる力が緩んでいく。

「私、ほんとに依織くんのことが好きだった。ヒーローのように助けてくれた依織くんに本当に惹かれてた」

優しくて、真っ直ぐで、屈託ない笑顔とチラチラ見え隠れする八重歯がチャームポイントで。

いつも私のことを一番に考えてくれてた。

そんな、素敵な彼氏だった。

「でも……私、もう耐えられない……」

傷つけられて痛む体より、心がもたないの。

胸が苦しくて、息が出来なくて……。