何だろう?

不思議に思いながら差し出された手を見つめれば、その手にはカイロが握られていて。

「えっ……でも、梓川くんが寒くなっちゃうし」

「俺は大丈夫だから」

そう言いながら、優しく微笑んでくれる梓川くん。

出会った時からポーカーフェイスが多かった梓川くんも、最近はとっても笑ってくれることが増えた。

凛音くんたちほど満面の笑みはないけど、今みたいに優しく微笑んでくれて。

その変化がとっても嬉しい。

「ありがとう!」

私は梓川くんからカイロを受け取って、そっと両手で包み込む。

あったかい……。

冷えきっていた指先がじんわり体温を取り戻していくよう。