テスト勉強の時だって文句言いながらも教えあってるし。

そんな二人の光景に、私は思わず頬が緩む。

初めは怖かったこのやり取りも、今はなんだか微笑ましく思えてくるな……。

「桜川」

「うん?」

すぐ上から降ってきた呼び掛けに、私は二人に向けていた視線をそっと声のした方へと移す。

あ……。

さすがにポーカーフェイスの梓川くんでさえ、いつもと違って今日は鼻先がほんのり赤い。

これはとってもレアな気がする……。

「これ」

???

梓川くんの鼻先に思わず見入っていると、梓川くんは私の前にそっと手を差し出した。