奈雄輝はグッと押し黙った。

二人の足音と激しく打ちつける雨の音しか聞こえない空間。

奈雄輝が言わんとすることはなんとなく察していた。

“一緒に住んでも大丈夫なのか”

きっと奈雄輝はそれを気にしてる。

「でも、あのまま放っておけない」

一緒に住んで大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば、“大丈夫じゃない”。

……だけど、悲しみと疲れとでいっぱいいっぱいな恋々愛の顔を見たら──────────

『一緒に暮らそう』

考えるより先に気づけばそう口にしていた。

「……悲しむ顔は、見たくないんだ」

そう思うのであれば、一緒に住むのはやめた方がいい。

……恋々愛のためにも。