『虫! 虫がついてるー! 取ってー!』

そう泣きじゃくる君を。

『痛い……』

擦りむいた膝を抱えて涙を浮かべる君を……。

いつでも俺は、笑顔にしたいと思った。

『取れたよ。もう大丈夫』

『ほんとだ! ありがとう、ゆーくん!』

虫なんて触ったことなくて怖かったけど、君が泣いてる方が嫌で。

『痛い痛いの飛んでいけ! もう痛くない、痛くない。僕がお家まで連れていくからもう泣かないで?』

『ゆ、くんっ……ありがとう』

そうやって溢れそうな涙をぐっと堪える君の手を引いて家まで連れ帰って。

いつだって俺は、君のヒーローになりたくて……──────────────────