俺はただ、恋々愛を笑顔にしたかっただけなのに──────────

「優羅くん?」

「……えっ?」

隣から聞こえてきたか細い声に、俺はパッとは我に返る。

隣を見つめれば、心配そうな瞳が俺を見上げていて。

「大丈夫?」

……あっ。



『だいじょーぶ? ゆーくん』



恋々愛は……ホントに何も変わらないな。

自分のことよりも人のこと優先して。

その心配そうに見つめる瞳も、12年経った今でも全然変わらない。

「大丈夫。少し考え事してた」