まぁ……それほど桜川が純粋ってことか。

「でも、マリーアントワネットだけじゃなくてルイ16世まで助けるなんて……だって、その愛人さんとルイ16世はライバルなのに」

桜川、そんなに深く考えてるのか……。

さすがに俺もそこまで考えたことはないし、そもそもこんな恋愛沙汰は不得意だ。

だけど、納得いかないといった表情で首を傾げる桜川を見てると、どうにかしてそのモヤモヤを晴らしてあげたいと思う。

「逃亡を手助けした伯爵は、舞踏会でマリーアントワネットに惹かれて以来、縁談を全て断るほど、王妃に夢中だったらしい」

「そんなに好きだったんだ……でも、そんなに一途なら尚更奪って逃げちゃえばいいのにね」

……顔に似合わず過激な発想だな。

まさか桜川の口からそんな言葉が発せられるとは。

まぁ、過激と言っても、言うなれば駆け落ちのこと。